評価結果 — 外部委託した場合の見積比較
受託開発企業
2,300万円
最大7名体制 / 5ヶ月
PM 1 + SE(FE)1 + SE(BE)1 + インフラ 1 + デザイナー 1 + PG 1 + テスター 1。要件定義からデプロイまで一括請負。ドキュメント・レビューサイクルの管理コストを含む。
フリーランス
980万円
3名体制 / 4ヶ月
リード 1 + BE 1 + インフラ 1。PM機能は発注側が担い、管理コストを圧縮。リードのスキルに依存。
自社開発SaaS企業
1,200万円
最大5名体制 / 3.5ヶ月
TL 1 + FE 1 + BE 1 + SRE 1 + PdM 1(兼務)。既存基盤の流用により効率化。正社員の間接費込み。
参考 — 本プロジェクトの実績: 1名 × 4.9ヶ月(789.5時間)、実績コスト約230万円。最も安価なフリーランス委託と比較しても約750万円、受託企業比では約2,070万円のコスト差がある。算出過程と内訳は以下のセクションで詳述する。
1 算出の前提
プロジェクト規模
技術的複雑性の評価
| 複雑性要因 | 内容 | 工数への影響 |
| クリーンアーキテクチャ |
Router / UseCase / Repository / Gateway の4層分離、97 UseCase、22 Gateway |
+10〜15% |
| 多段階承認ワークフロー |
ステップ・ロール・EVERY/AND承認ルール、旅費精算・作業報告の二系統フロー、一括処理 |
+15〜20% |
| 音声入力 + AI要約 |
Google Cloud Speech-to-Text + Gemini AI、Web Audio API、iOS最適化、Canvas可視化 |
+10〜15% |
| GCPインフラ構築 |
Cloud Run 4サービス + Cloud Scheduler + Artifact Registry + 自動バックアップ |
+15〜20% |
| 外部システム連携 |
Kintone REST API、Clerk Webhook、Supabase Storage、Nodemailer(8テンプレート) |
+10〜15% |
| 業務ドメインの複雑性 |
経費精算・作業報告・承認フローの三位一体、14段階RBAC、品証区分、仮払金管理、スナップショット |
+15〜20% |
単価の根拠
以下の単価は、2026年時点の日本国内IT人材市場における一般的な相場に基づく。出典: レバテック、PE-BANK、各社採用ページの公開情報、IPA「IT人材白書」等。
| ロール | 受託企業 | フリーランス | SaaS企業正社員 |
| PM / PL | 100〜150万/月 | - | - |
| SE(設計・実装) | 80〜120万/月 | 80〜100万/月 | - |
| PG(実装) | 60〜80万/月 | 60〜80万/月 | - |
| インフラエンジニア | 80〜120万/月 | 80〜100万/月 | - |
| フルスタック(シニア) | - | 80〜120万/月 | 年収700〜1,000万 |
| UI/UXデザイナー | 60〜90万/月 | 60〜80万/月 | - |
2 受託開発企業に委託した場合
前提: SIer または Web受託企業に一括発注。要件定義フェーズから参画し、設計・実装・テスト・インフラ構築・デプロイまで請負。クライアント側のレビュー・受入テスト工数は含まない。
想定チーム体制
| ロール | 人数 | 参画期間 | 月単価 | 小計 |
| PM / PL | 1 | 5ヶ月(全期間) | 120万 | 600万 |
| SE(FE設計・実装) | 1 | 4ヶ月 | 100万 | 400万 |
| SE(BE設計・実装) | 1 | 4ヶ月 | 100万 | 400万 |
| インフラエンジニア | 1 | 2ヶ月 | 100万 | 200万 |
| UI/UXデザイナー | 1 | 1.5ヶ月 | 80万 | 120万 |
| PG(実装補助) | 1 | 3ヶ月 | 70万 | 210万 |
| テスター | 1 | 2ヶ月 | 60万 | 120万 |
| 合計 | 2,050万円 |
算出過程
- 工数見積: 179,785行 / 29ページ / 29ルーター / 41テーブルの規模。同等技術スタックの別プロジェクト(270,940行 / 56テーブル / 290EP)の受託見積3,460万円との比較から、規模比約65%として算出。
- 期間: PM含め最大7名体制 × 5ヶ月。受託特有のドキュメント作成・レビューサイクルを含む。音声入力AI統合の技術検証期間も考慮。
- 人員の根拠: FE 1名は Next.js 15 + 380+コンポーネント、BE 1名は Hono + 97 UseCase + 承認ワークフロー、インフラ1名は GCP 4サービス + CI/CD構築。別プロジェクトより規模が小さいためFE/BEとも1名体制。
- 管理コスト: 受託ではPM/PLが進捗管理・品質管理を専任で行う。管理費250万を加え合計2,300万円。
3 フリーランスに依頼した場合
前提: シニアクラスのフリーランスエンジニアを複数名アサイン。PM機能は発注側が担い、技術判断はリードエンジニアが兼務。受託と比較してドキュメント・管理コストが圧縮される反面、品質管理は発注側の責任となる。
想定チーム体制
| ロール | 人数 | 参画期間 | 月単価 | 小計 |
| リードエンジニア(FE/設計) | 1 | 4ヶ月 | 100万 | 400万 |
| バックエンドエンジニア | 1 | 4ヶ月 | 90万 | 360万 |
| インフラ / SRE | 1 | 2ヶ月 | 90万 | 180万 |
| 合計 | 940万円 |
算出過程
- 効率性: フリーランスは管理オーバーヘッドが少ないため、受託比で約40%のコストに圧縮される。ただし、品質管理・設計レビューを発注側が担う前提。
- リスク: リードエンジニアのスキルに依存度が高い。本プロジェクトの技術スタック(Next.js 15 + Hono + Clerk + GCP + 音声入力AI)をすべてカバーできるシニア人材の市場調達は容易ではない。
- 期間の根拠: 3名並行で4ヶ月。受託のドキュメント作成・レビューサイクルを省略する分だけ短縮。ただし、1人開発時の「判断の即時性」は失われるため、調整コストが発生する。
- 人員構成: リードがアーキテクチャ設計 + FE実装を兼務し、BEエンジニアがHono API + クリーンアーキテクチャを専任。インフラは2ヶ月で構築・CI/CD整備後に離脱。管理費40万を加え合計980万円。
4 自社開発SaaS企業に依頼した場合
前提: SmartHR、freee、マネーフォワード等と同水準のSaaS企業が、自社プロダクトとして同等機能を開発する場合の正社員人件費を試算。福利厚生・オフィス費用等の間接費(人件費の1.3〜1.5倍)を含む。
想定チーム体制
| ロール | 人数 | 参画期間 | 年収目安 | 間接費込月コスト | 小計 |
| テックリード | 1 | 3.5ヶ月 | 900万 | 100万 | 350万 |
| FEエンジニア | 1 | 3ヶ月 | 750万 | 85万 | 255万 |
| BEエンジニア | 1 | 3ヶ月 | 750万 | 85万 | 255万 |
| SRE / インフラ | 1 | 1.5ヶ月 | 800万 | 90万 | 135万 |
| PdM | 1 | 3.5ヶ月(兼務50%) | 850万 | 95万 | 166万 |
| 合計 | 1,161万円 |
算出過程
- 間接費の算出: 年収 × 1.35(社保・福利厚生・オフィス・ツール費用)÷ 12ヶ月 = 月コスト。SaaS企業の一般的な間接費率は1.3〜1.5倍。
- 開発効率: SaaS企業は既存のデザインシステム・CI/CD基盤・認証基盤を持つことが多く、ゼロベース構築と比較して20〜30%の効率化が見込める。本試算ではHubtanがこれらをゼロから構築した点を考慮し、SaaS企業なら3.5ヶ月程度で完了と見積もる。
- チーム規模: 最大5名(PdM兼務含む)。SaaS企業ではスクラム開発が一般的で、スプリント単位での進捗管理コストが内包される。管理費を加え合計約1,200万円。
- テックリードの重要性: 本プロジェクトのアーキテクチャ判断(Hono分離、クリーンアーキテクチャ、音声入力AI統合)は、シニアクラスのテックリードの知見に依存する。適切な人材がチームにいない場合、設計品質の低下と手戻りコストが発生する。
5 比較一覧
| 項目 |
受託開発 |
フリーランス |
SaaS企業 |
| 費用 |
約230万円 * |
2,300万円 |
980万円 |
1,200万円 |
| 体制 |
1名 |
最大7名 |
3名 |
最大5名 |
| 開発期間 |
4.9ヶ月 |
5ヶ月 |
4ヶ月 |
3.5ヶ月 |
| 延べ人月 |
4.9 |
約25 |
約10 |
約13 |
| 設計品質 |
リード依存(本件:高レベル) |
チーム依存(ばらつきあり) |
リード依存 |
自社基準(高い傾向) |
* 本プロジェクト実績の費用は、789.5h × 想定時間単価2,918円で概算。内訳: 月額総支給403,176円 + 会社負担社保料63,757円(健康保険20,356円 + 厚生年金37,515円 + 雇用保険2,621円 + 労災保険1,814円 + 子ども・子育て拠出金1,451円)= 466,933円 ÷ 160h。
6 その他の定量評価
開発生産性
228 行/h
179,785行 ÷ 789.5h = 約228行/h。純粋なコーディング時間(FE 357.5h + BE 193.5h = 551h)に限定すると、326行/h。業界平均(12〜38行/h = 100〜300行/日)と比較して高い生産性を示す。AI協働開発の活用が寄与していると考えられる。
コスト削減効果
750〜2,070万円
フリーランス委託との差額: 980万 - 230万 = 750万円。受託企業委託との差額: 2,300万 - 230万 = 2,070万円。SaaS企業比で970万円のコスト回避。いずれの委託形態と比較しても、本プロジェクトの実績コストは大幅に低い。
市場投入期間 (TTM)
4.9ヶ月
受託5ヶ月・フリーランス4ヶ月・SaaS企業3.5ヶ月に対し、本プロジェクトは4.9ヶ月(789.5時間)で完了。1人体制のため暦上の期間は同等だが、延べ人月(4.9人月 vs 10〜25人月)では圧倒的に少ない。意思決定の即時性とAI協働による効率化が要因。
インフラ構築価値
300〜500万円相当
GCP上のCloud Run 4サービス + Cloud Scheduler + Artifact Registry + 自動DBバックアップ + GitHub Actions 6ワークフロー + Docker 4マルチステージイメージの構築を、専門のインフラエンジニアに依頼した場合の概算。月100万 × 3〜5ヶ月。
AI音声入力の技術価値
150〜250万円相当
Google Cloud Speech-to-Text + Gemini AI要約 + Web Audio API録音 + Canvas波形可視化 + iOS最適化の技術検証・実装を外部に委託した場合の概算。AI統合の技術検証に1ヶ月、実装・最適化に1〜2ヶ月。
年間保守費用(参考)
250〜500万円/年
開発費の15〜25%が年間保守費用の業界目安。受託2,300万ベースで345〜575万/年、フリーランス980万ベースで147〜245万/年。本プロジェクトの設計品質(クリーンアーキテクチャ、テスト基盤)は保守コスト低減に寄与する。
7 開発者の市場価値評価(フリーランス:月額90〜120万円 / 年収換算1,080〜1,440万円)
本プロジェクトの実績から、開発者のスキルセットを市場の報酬水準と照合する。
| 実証されたスキル | 本プロジェクトでの根拠 | 市場単価(フリーランス) |
| フルスタック設計・実装 |
Next.js 15 + Hono + GCP、FE/BE両方のアーキテクチャ設計と実装を単独で遂行。クリーンアーキテクチャ + Feature-based構成。 |
90〜120万/月 |
| DB設計・ドメインモデリング |
41テーブル + 12 Enum、14段階RBAC、多段階承認ワークフロー、仮払金管理、Worker snapshot設計。 |
80〜100万/月 |
| GCPインフラ構築 |
Cloud Run 4サービス、Cloud Scheduler、Artifact Registry、自動DBバックアップ、GitHub Actions 6ワークフロー。 |
80〜110万/月 |
| AI/音声技術統合 |
Google Cloud Speech-to-Text + Gemini AI要約、Web Audio API録音、Canvas波形可視化、iOS最適化。 |
90〜120万/月 |
| 業務システム要件定義 |
経費精算・作業報告の業務ドメインヒアリング → 要件定義 → 仕様設計。多段階承認・品証区分・Kintone連携の設計。 |
100〜130万/月 |
上記スキルを総合すると、フリーランスとしての市場単価は月額90〜120万円(年収換算1,080〜1,440万円)の水準に相当する。
特に「要件定義から設計・実装・AI統合・インフラ・デプロイまで1人で一気通貫で遂行できる」点は、PM/TL兼務のシニアエンジニアとして希少性が高い。
8 総括
市場価値の定量評価
本プロジェクトの成果物を外部委託で構築した場合、受託企業で2,300万円、フリーランスで980万円、SaaS企業で1,200万円の費用が見込まれる。
実績コスト約230万円に対し、最低でも750万円、最大で2,070万円のコスト回避効果がある。
延べ人月では受託25人月・フリーランス10人月に対し本プロジェクトは4.9人月で完了しており、設計品質は同等以上の水準を達成している。
加えて、インフラ構築300〜500万円相当、AI音声入力技術150〜250万円相当の付加価値を生んでいる。
1名のフルスタックエンジニアが789.5時間で、複数名チームが3.5〜5ヶ月かけて構築する規模のシステムを完成させた実績は、
高い技術力と効率的な開発プロセスの証左である。